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  1. 滋賀県議会 2021-02-10
    令和 3年 2月10日環境・農水常任委員会−02月10日-01号


    取得元: 滋賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    令和 3年 2月10日環境・農水常任委員会−02月10日-01号令和 3年 2月10日環境・農水常任委員会              環境・農水常任委員会 会議要録                                開会 12時59分 1 開催日時      令和3年2月10日(水)                                閉会 15時49分                         (休憩 14時00分〜14時02分)                         (休憩 15時16分〜15時19分) 2 開催場所      第三委員会室 3 出席した委員    竹村委員長、駒井副委員長             白井委員佐口委員大橋委員中村委員桑野委員、             今江委員 4 出席した説明員   石河琵琶湖環境部長西川農政水産部長および関係職員 5 事務局職員     立川主査、柴田副主幹
    6 会議に付した事件  別紙次第書のとおり 7 配付した参考資料  別紙のとおり 8 議事の経過概要   別紙のとおり                  議事の経過概要 開会宣告  12時59分 《琵琶湖環境部所管分》 1 マイクロプラスチック問題とその実態および影響評価について (1)参考人意見陳述  長浜バイオ大学 小倉 淳教授 ◎小倉 参考人  本日は、マイクロプラスチック問題について説明させていただく機会を頂きまして、誠にありがとうございます。  本日は、マイクロプラスチック問題とその実態および影響評価ということについて、説明させていただきます。  最初に、軽く自己紹介だけさせていただければと思います。  私は長浜バイオ大学という、長浜市にあるバイオの単科大学の教授をやっています。今はマイクロプラスチック問題に研究として取り組んでいますが、ただ単に基礎研究というだけでなく、社会問題の解決を目指して、今は大学発ベンチャー企業をつくりまして、そこで社会実装にも取り組んでいます。  まず、マイクロプラスチック問題について、説明させていただきます。  プラスチックごみ問題というのは、ここで説明するまでもなく、皆さんよく御存じのことだと思いますが、非常に世界的にも増え続けていまして、問題となるのは、石油製品からつくられるのですけれども、リサイクルされるのが、世界的には僅か9%ということで、基本的にどんどんCO2が大気中に放出されてしまうということが、一番大きな問題だというふうにいわれています。  増え続けているという点では、なお今後もどんどん増え続けるというふうに言われていまして、右上に書いてあるのが、科学雑誌から取ってきた予測図になりますけれども、現在よりも、例えば2050年では大体3倍から4倍ぐらいのプラスチックごみが、環境中に漏出するであろうということが予測されています。  一方、日本ではどうなっているかということに関してですが、日本ではリサイクルされているのは85%というデータがあります。ただ、ここの左下の円グラフにありますように、日本から出ている2019年のレポートですけれども、使用済プラスチック約900万トンのうち、ほとんどの524万トンがサーマル―― サーマルというのは、燃やして熱エネルギーに変換するということです。熱エネルギーに変換できればいいかというと、単に捨てるよりはいいかもしれませんが、これは大気中にCO2を放出することになりますので、世界的にはリサイクルとみなされていません。  一般的にリサイクルとみなされるマテリアルリサイクルケミカルリサイクルは、大体4分の1ぐらいにしかなっていないということで、残りは埋め立てているという状況になっています。  このプラスチック問題というものが非常に問題となっているのは、プラスチックという語源が、分解しにくいという意味もあるので、そこから類推できるように、自然界で分解にかかる時間が非常に長いということが大きな問題となっています。  例えば、右下の図で、少し字が小さくて申し訳ないのですけれども、口頭で申し上げますと、例えばレジ袋は20年ぐらい分解にかかるというふうに言われていますし、ペットボトルとかは数百年、釣り糸なんかはもっとかかると言われています。  このプラスチック問題の課題としましては、先ほど少し申し上げましたように、温室効果ガスの排出量が増加していくこと。あとは誤飲による生態系への影響。あとは、マイクロプラスチックに吸着する化学物質による生態系や人体への影響。ほかにも美観や景観が損なわれる、船舶航行への障害、漁業への影響、適正処理への懸念といった、非常に様々な問題があります。  ここでマイクロプラスチックについて詳しく申し上げますと、マイクロプラスチックは、大きく分けて2つありまして、1次マイクロプラスチックと2次マイクロプラスチックというものがあります。  1次マイクロプラスチックというのはどういうものかというと、歯磨き粉や洗剤などに含まれているようなマイクロビーズ、あとはプラスチック製品中間原料となるようなレジンペレット、このようなものが、もともと小さなマイクロプラスチックとして環境中に流出します。非常に微細なため、下水処理施設を通り抜けてしまうということが課題となっています。  また、プラスチック自体は、後で申し上げますが、基本的には無害なのですけれども、このマイクロプラスチック自体にも、添加剤というものが入っていまして、この添加剤有機汚染物質であるということが言われていまして、ペレットが残留有機性物質を含んでいたり、あるいは外から吸着したり、それが世界の海洋中に広がることによって、世界中が汚染されているという、そういう汚染の拡大に関わってくるという形になっています。  次に、2次マイクロプラスチックというのはどういうものかというと、この2次マイクロプラスチックというのは、基本的には、もともと大きな製品、例えばビニール袋だとかペットボトルだとか、これが環境中で破砕されたり、分解することによって、より小さな物になっていくというものが2次マイクロプラスチックです。  一般的に、マイクロプラスチックというと、この2次マイクロプラスチックを思い浮かべる方が多いかというふうに思います。  この2次マイクロプラスチックも非常に大きな問題となっていて、例えば生態系内で、プラスチックがどのようになっていくかというのを示したのが左の図ですけれども、石油製品からプラスチック製品という、非常に便利な物がつくられて、ここはいいのですが、それが環境中に放出されると、まず化学物質を吸着したりして、大きなプラスチックは、鯨とか亀とかイルカとか、非常に大型の生き物に対して悪影響を及ぼします。  それが紫外線や物理的な破砕によって細片化していくと、それが小型魚や鳥に摂食されます。ここでまた生物への影響も出ます。さらに細分化すると、マイクロプラスチックとなり、それが様々な小型魚や貝類などにどんどん取り込まれているという形になっています。  右上が、気象庁が日本から1,000キロメートルも離れた太平洋上から回収したマイクロプラスチックですけれども、このように太平洋上にも既に漏出しているということが分かっていますし、東京湾の調査では、8割のイワシの体内からマイクロプラスチックが見つかっているということが報告されています。  マイクロプラスチックの問題を生物に絡めてまとめますと、まず自然環境における有害性として、プラスチック自体には、先ほど申し上げましたように有害性はないのですけれども、大きなプラスチックは物理的に様々な生物を死に追いやりますし、右上のように、マイクロプラスチックは魚の幼生を致死にします。これは毒性というよりは、単に餌と誤飲して、その結果、腸管が詰まってしまって、そのまま死に至るという形です。  実は、海洋中だけではなくて、植物にもマイクロプラスチックが根っこにこびりついて成長を阻害するということが、「Nature Nanotechnology」に昨年度報告がありました。したがって、人は大きいのでマイクロプラスチックはまだ問題にされていないかもしれませんが、様々な生態環境で、特に弱い状態の生物が死に追いやられているという状況になっています。  マイクロプラスチックの実態について、次に説明します。  海洋マイクロプラスチックについてです。  9割は陸上から河川を通じて海に流出するということが報告されています。これは考えてみると当然のことで、プラスチック製品を生産して使うのは人間で、それは陸上で生活しているので、陸上で生まれるものなのです。陸上から海洋にどんどんプラスチックごみが流出していまして、世界中の流出ランキングというか、ごみ発生量をランクづけしますと、1位が中国ということで、年間100万トンから350万トン、2位がインドネシア、3位フィリピン、4位ベトナム5位スリランカというように、基本的には、東南アジアや中国といった国からの流出が非常に多くなっているという形です。  日本は、いっても数万トン、これは多いといえば多いのですけれども、ほかに比べると少ないというところで、この問題は日本だけで何とかしても地球環境はそれほど大きく影響を受けないということで、グローバルな問題だというふうに考えられます。  ただもちろん、インドネシア東南アジアで発生したごみというのは、実は数年前までは日本からごみとして輸出されて、東南アジアで処理を委託されてという形で流出していたので、日本にも責任がないわけではありません。ただ、最近では、こうした問題も受けて、東南アジア、中国ではごみの輸入を禁止していますので、さらにごみの処理に困っていて、サーマルリサイクルが増えているという実態にもなっています。  右の図には、太平洋ごみベルトというのがあって、これは海流によって集まってくるプラスチックごみというのが、太平洋上に1.8兆個のプラスチック片が浮遊していると推測されています。そのうち94%はマイクロプラスチックが占めているというような実態です。  この問題は、本当に近い環境だけで存在するのかというと、実は北極でもマイクロプラスチックは見つかっています。  左は地球を北のほうから見た図ですけれども、真ん中に北極海がありまして、非常に見にくいかと思いますが、北極海の沿岸に非常に幅広くマイクロプラスチックが点在しているということが調査によって分かっています。  カナダの北からシベリア沖まで、北極海の至るところで見つかっています。  さらに、北極の動物の体内からも見つかっていて、フルマカモメというカモメでは、プラスチックを集める磁石のようになっているというふうな報告もあります。  実際に海氷1リットル当たり1万2,000個以上のマイクロプラスチック粒子、積雪1リットル当たり1万4,000個ものマイクロプラスチック粒子が検出されているという報告もあります。  さらに、南極でもマイクロプラスチックが非常に多く見つかっています。  南極の地表水というのは、以前からマイクロプラスチックが確認されていましたが、南極の海氷にもマイクロプラスチックが確認されました。氷のコアのサンプルからは、14種類の発生源から96個以上の粒子が検出されています。  研究者らは、南極の氷の大部分は融解して、新たに形成された際に、表層水から微小なプラスチック片を取り込んでいるのではないかというふうに考えています。  また、南極沿岸の海氷には、北極の海氷よりも大きなマイクロプラスチックの粒子が含まれており、プラスチックが分解されるまでの時間が短いことが示唆されています。  このマイクロプラスチックはどこに行くかという話なのですけれども、海洋中の廃棄物とマイクロプラスチックの行く末という点では、これは、とある報告例にあるものなのですが、海洋に放流されたプラスチック廃棄物は、比重が若干重いため、94%は海底に蓄積していくだろうということが考えられており、場所により、70キログラム/平方キロメートル存在しているだろうというふうに推定されています。  この海底には光が届かず、波の力もないといったため、海底の地質変動、深海の微生物による分解作用はあるかもしれませんが、単なる化学変化だけでは、数百年以上も蓄積し続けるだろうということが考えられています。  したがって、海底に行くのであれば気にしなくていいかというと、実はプランクトン発生源になっている、それが小型魚の育成に関わっていて、それが大型魚という生態系を構成していますので、このような海底にあるということは、非常に生態系全体に大きな影響を及ぼすということが示唆されています。  次に、日本近海におけるマイクロプラスチックとしては、世界的に見ても非常に多いということが言われています。  左の棒グラフが東アジア北大西洋瀬戸内海、世界の海洋ということで、日本も含まれる東アジアにおける海洋別1平方キロメートル当たりに存在しているマイクロプラスチック数は、大体172万個といわれていまして、北大西洋瀬戸内海、世界の海洋に比べて、非常に多くなっています。大体27倍ものマイクロプラスチックが含まれています。これは、日本近海ではありますが、恐らく先ほどのデータから類推するに、中国、東南アジアから流出してきたものが大きく含まれているだろうと思います。  瀬戸内海がこの中では、世界の海洋標準と似たようなものなのですけれども、これが実際の生活圏内におけるマイクロプラスチックの個数の実態なのかなとも思いますが、基本的にこれぐらいの数が存在しているということが分かっています。  真ん中が、環境省が作成した沖合海域マイクロプラスチック分布密度になりますが、1立方メートル当たりに大体数十から数百ぐらいのマイクロプラスチックが見つかるということが分かっていて、主に九州の沿岸ですとか、日本海、ここでは非常に多くなっているということで、恐らくこれは東南アジアなどから海流で運ばれてきているのではないかという考えが成り立ちます。  一番右が、シミュレーションによる太平洋マイクロプラスチック浮遊量の50年予測ということですけれども、2016年では、まだ大きな問題となっていなかったと思いますが、どんどん太平洋ごみベルトに集約するように、2066年では日本近海でも数倍、大体4倍ぐらいになるというふうな予測が立っています。  これはもちろん、何も対策を取らない、あるいは少なくとも現状の延長線上であるという話なので、これはぜひ止めたいなというふうには思っています。  次に、日本沿岸海域におけるマイクロプラスチックです。これは、環境省の平成30年度海洋ごみ調査の結果についての報告なのですけれども、ここでは東京湾、伊勢湾、大阪湾別府湾が表示されています。  いずれの湾でも、非常に多く見つかっていますが、例えば東京湾では、一番多い地点では、1立方メートル当たり65個のマイクロプラスチックが見つかっています。伊勢湾でも、たくさん見つかっています。大阪湾でも別府湾でも見つかっています。こういう実態というのは、基本的には、河川を通じた陸上からの流出だと考えられています。  次に、河川に関してなのですけれども、日本の河川におけるマイクロプラスチックということです。  先ほど申し上げましたように、プラスチックを作成して利用するのは人なので、人口の集中する市街地を中心に、汚染が進行しているというようなことが言われています。  左は、「Environmental Pollution」という科学雑誌に投稿された論文におけるデータですけれども、2015年から2018年にかけての国内河川マイクロプラスチック汚染調査結果、国内29河川と36地点のデータになりますが、ここで26の河川、31の調査点で86%の場所において、マイクロプラスチックが検出されています。  東京の近くでは、例えば千葉県の大堀川では11.9個見つかっていますし、九州のほうでも見つかっているということで、河川を通じて東京湾とか有明海とかに流出しているという実態が、ここで浮かび上がってきているということです。  基本的には、先ほどから申し上げましたように、レジ袋発泡スチロール由来マイクロプラスチックというのが、河川を通じて出ていきます。  いろいろな専門家がここにもたくさんいらっしゃるので、釈迦に説法だと思いますが、基本的に、下水処理のところでは非常にきれいに浄化はしているのですけれども、微細なごみを取るステップというのがなかなかなくて、そのためにマイクロプラスチックが漏れ出てしまうということが考えられています。  市街化して人口密度が高い河川ほど、マイクロプラスチック濃度が高いということが判明して、人間活動と河川のマイクロプラスチック汚染関係性というものが見えているというようなことになっています。  次に、マイクロプラスチックを心配していても、実は問題ないのではないかという考え方もあります。そこでマイクロプラスチック影響評価ということについて、まとめてみました。  まず、マイクロプラスチックの問題として、一番大きな課題と考えられているのが、プラスチックというのは、様々な可塑剤も含まれていますので、プラスチック自体といってもなかなか難しいのですけれども、プラスチック自体には、人体への影響は余りないというふうには言われていますが、基本的にマイクロプラスチックは様々な汚染物質を吸着するという、キャリアとしての効果がありますので、そこが大きな課題となっているかと思っています。  ここで左に書いてあるのが、もともとプラスチックというものに、それを加工しやすくするために添加剤というのを加えますが、添加剤というのが疎水性が高く、漂流しても残留し続けるという性質を持っています。これがプラスチック自体に様々な添加物を入れる理由となっていて、これが真ん中の図のように、残留性有機汚染物質POPSと言いますが、このような残留性有機汚染物質をもともと含んでいるものもありますし、周りから吸着するという形にもなります。  さらにカドミウム、亜鉛、ニッケル、鉛などの重金属というものも吸着して、これが汚染となっています。  少しというか、数十年前には環境ホルモンというのが、昔、話題となったと思いますが、環境ホルモンというのが、大型魚生物濃縮されて蓄積されて、例えば妊婦さんはカツオを食べない方がいいとか、いろいろなことが言われていましたけれども、今は生物濃縮マイクロプラスチックが早めているということが報告されています。  このマイクロプラスチックが海中に存在する限り、吸着し続けるということで、マイクロプラスチックは表面に凹凸も多く、表面積が大きいため、疎水性の高い化学物質を吸着しやすいということが大きな問題となっています。  人体の影響に関してですが、まだ調査は進んでいないというのが実態ではあります。基本的に、課題が大きいのでいろいろな研究がされれていますが、例えば右上のオーストリア政府ウィーン医科大学共同研究で発表されたデータでは、日本人を含む8カ国の成人に対する調査で、8人全員の便検体からマイクロプラスチックが検出されています。人体がマイクロプラスチックを摂取しているということが、初めて報告されました。  さらに、次の報告では、11の主要な国際ブランドペットボトル飲料から、259本のうち93%にポリプロピレン、ナイロン、PETなどのマイクロプラスチックが混入しているという研究報告例もあります。  翌年、WHOは、飲料水の中のマイクロプラスチックのほとんどが体内へ吸収されずに排出されると研究結果が示しているとの見解を示しており、一旦ここで鎮静化というか、それほど懸念することではないというふうには言っていますが、これまでの研究では相当のデータが不足しているため、大規模な調査は行う必要があるともしています。  したがって、まとめますと、人体の被害報告というのは、まだないのですが、プラスチック製品に加える添加剤の中には、内分泌攪乱作用生殖毒性を持つ物も含まれていて、環境ホルモンみたいなものが入っていますけれども、これらが少しずつ人の体をむしばんでいる懸念もあるということで、引き続き確認しつつ、対処をしていかなければいけないという状況だと思います。  人体だけでなく、先ほどから少しずつ申し上げていますように、生態系への影響というのもあります。食物連鎖を通した高次栄養段階生物への移行ということで、先ほど言った生物濃縮なのですけれども、基本的には、バックグラウンド汚染が低く、プラスチック以外の経路からの有害化学物質の曝露が少ない離島や遠隔地に、POPsを吸着したプラスチックが運ばれていって、海鳥もこのようなプラスチックを摂取しているということが報告されています。  したがって、市街地が多いと、そこは重点的に見ないといけないのですが、汚染が少ない場所でも、生き物の体内から有害物が見つかっているという状況があります。  左下の南シナ海北部に生息する動物プランクトングループにおけるマイクロプラスチック摂取の調査では、生物学的地位が上がるほど、要するに高次栄養段階生物であるほど、マイクロプラスチック遭遇率が増加しているという、生物濃縮を裏づけるデータも出ています。  右下に書いてあるのが、マイクロプラスチックを摂取した動物プランクトンアミ類に給餌する実験では、アミ類の腸に動物プランクトン球状マイクロプラスチックの存在が示されています。  右は、サイエンスに報告されている論文ですが、魚の幼生がマイクロプラスチックで誤飲して、幼生が致死に至っているという例があります。右上は、もう少し大きくなった魚で、670匹のうち35%が微細なプラスチック片を含んでいるというようなことがあります。  魚の幼生というのが、非常に生態系への影響が大きいと思って、そこでデータをまとめてみましたが、左図のように、複数の海流が合流して形成される帯状や斑紋状のスリックでは、海面付近の水と比較してマイクロプラスチックの密度が126倍、太平洋ごみベルトと比べても8倍ということで、実際に動物プランクトンプランクトン類が多いような海域で、そこで魚の幼生がよく育つところ、まさにそこにマイクロプラスチックが集約されてしまっているということがあります。  右が、これは25セントか1ドルコインか、アメリカコインだと思うのですが、アメリカコインと比べても小さい、このような魚の稚魚であっても、マイクロプラスチック――マイクロプラスチックというのは、例えばフリースみたいな衣類からは糸状で出てくるので、下のマミチョグかと思うのですけれども、食べているのは糸状のマイクロプラスチックで、上のトビウオみたいなのが食べているのが、もう少し一般的なマイクロプラスチックだと思います。このようなマイクロプラスチックを稚魚が摂取してしまっているという報告例があります。  ここは、海底のエビがマイクロプラスチックをさらに微細化するとの研究成果があって、実態がなかなか分かっていなかったのですが、先ほど、海底に94%ほど沈殿していくという事例に対して、エビが実は徐々に分解させています。これはいいようにも思えますし、大きくて魚の稚魚に影響しなかったようなプラスチックマイクロプラスチック化しているという実態にもなりますので、この辺は、今後も調査していかないといけないというふうに考えていますが、このような実態があるということが分かってきました。  摂食プラスチックから生物組織への化学物質の移行という点で、いろいろ考えてみると、左が食物連鎖みたいなもので、節足動物、小魚、二枚貝、底生動物から大きな鯨や海鳥というところまで、様々な生物にどんどん摂食プラスチックからの吸着有害物質などが蓄積していくということが分かってきています。  右下のイワシ類からも、BPA、PCBなどの汚染物質が多く見つかっていますし、二枚貝からも見つかっています。  鯨からも、MEHPが見つかっていますし、海鳥でもPCBが見つかっているということで、実態として、このような汚染物質が海洋中で様々な生物に濃縮されていくということが分かってきています。  ここまでが影響評価なのですけれども、現在のところをまとめますと、基本的には、心配はしないといけないと思いますが、きちんと影響評価というものを、効果も考えて検討していかないといけません。さらに、マイクロプラスチックを悪者だとするのは簡単ですけれども、実際問題として、マイクロプラスチックを環境中から除去できる技術がなければ規制もできませんので、我々としては、何とかこのマイクロプラスチックを環境中から浄化、除去していくすべがないかということで、研究を進めています。残りの時間を使って、若干ですが、研究事例を説明させていただければと思っています。  我々は、藻類というものを使ってマイクロプラスチックを除去しようとしています。藻類というのは何かというと、光合成ができる生き物で、琵琶湖でいうとアオコみたいなものが発生するということで、余りいい印象がないかもしれませんが、一方で、例えばすしで食べるようなノリも藻類になります。非常に広い幅の生物になっていまして、基本的には、光合成ができる小さい生物というのが、基本的な定義になっています。  この藻類の中でも、実は体の外に粘着性の物質を分泌する藻類というのが知られていまして、我々はその粘着性物質に着目して、この藻類による粘着物質がマイクロプラスチックを除去できるのではないかと考えて、それを研究開発してきました。  珪藻、藍藻、ユーグレナなどの様々な藻類で吸着実験を行った上で、我々はこの技術を特許申請しているという状況になっています。  実際、どのような仕組みで除去するかというと、まず糸状の藻類に関しては、物理的にマイクロプラスチックを絡め取るということができます。  さらに糸状仮足というのを出すものもあって、これがマイクロプラスチックをどんどん吸着していく。あとは、先ほど、粘質物というのを出して、マイクロプラスチックに吸着していく。これによって、目の細かいフィルターでないとこせなかったマイクロプラスチックが、非常に目の粗いものでもどんどんこすことができるということで、非常にリーズナブルな除去方法として、発展できるのではないかというふうに考えています。  我々は、これを特許技術として特許申請していまして、基本的には、下水道施設だとか、養殖施設だとか、人の環境中で摂取することを防ぐような、外界中に出すことを防ぐような、そういうところに使っていきたいと考えています。  時間の関係で詳しくは申し上げられませんが、もしコメント等あれば、後で頂ければと思います。
     このマイクロプラスチック除去層というのをどこに用いるかということについて検討していますが、今は陸上養殖で、人が食べる水産物、これを安全なものにしたいというふうに考えていて、まず微細藻類の成育槽をつくった上で、マイクロプラスチック除去槽というものをつくって、外界から給水する水に含まれるマイクロプラスチックを除去した後に養殖に用いようとしています。  要するに、まず人の安全を確保して、環境中のマイクロプラスチックを徐々に除去していこうということを考えています。  さらにこのマイクロプラスチック除去技術に対しては、日本財団がCHANGE FOR THE BLUEというプログラムを発表しており、これがイッカクプロジェクトという、海ごみ削減プロジェクトをやっています。  これがイッカクプロジェクトのホームページですけれども、我々は、イッカクプロジェクトの中で、ごみ処理システムの開発というチームをつくりました。研究開発という意味で、大学ではなくてベンチャー企業に対する助成金という形だったので、技術を用いた大学発ベンチャーを立ち上げて、このチームとして応募し、採択されて、今、この社会実装に取り組んでいるという状況です。  この仕組みでは、海洋プラスチックごみそのものを処理するのと同時に、周辺海域の汚染水のマイクロプラスチックを除去して、きれいな水をつくると同時に、ごみは燃やすことによってクリーンなエネルギーをつくります。エネルギーときれいな水をつくって、海藻や水産物の養殖を図るということで、CO2回生も含めながら、全体でゼロエミッションなクリーンなエネルギー、水、食料をつくり出すプロジェクトとして走っています。  最後のほうになってきましたので、まとめていきますと、基本的に、我々はマイクロプラスチックのない世界を目指しています。最終的には、マイクロプラスチック流出を河川で止めたいと思っています。下水処理場の施設に入れたいと思っていて、滋賀県内の水処理施設の方といろいろ連携を取りながらやっていこうと思っていますが、まだ、実は左下のように、規制がないから導入動機がないということで、どこから入れようかということを考えた中で、右上のオーガニックフードのように、妊婦や乳幼児に安全、安心な水産物を提供していくということを考えて、まずここから取り組んでいるというのが、先ほどの説明になります。  将来的にマイクロプラスチック規制で、一斉導入がこのようなシステムで図れるかと思いますし、ダイオキシンのときは1兆円市場の規制市場というのが立ち上がったので、このような流れを利用すれば、日本中のマイクロプラスチック除去をしていくということが可能なのではないかというふうに考えています。  社会実装までの取組としては、既に沖縄県の養殖試験場との共同研究によって、今年中にマイクロプラスチックフリーの水産物の試験出荷というのをもくろんでいます。  最終的に、このようなビジョンを考えていまして、陸上養殖施設において、周辺海域の水を浄化しながら、きれいな水をつくって、それで養殖をします。そして、人間には安全な水産物を届けると同時に、周辺環境も徐々に浄化していくというシステムを今考えて社会実装を目指しているという状況です。  少し時間がオーバーして申し訳ありませんでしたが、このような取組をやっていますので、紹介させていただきました。どうもありがとうございました。 (2)質疑、意見等 ◆大橋通伸 委員  おぞましい話をありがとうございました。2つ、3つお願いします。  まず、冒頭にお話しいただきました4ページ、日本のリサイクルの実態をお示しいただきました。  左下に900万トンの円グラフがございますが、初歩的な質問からです。  マテリアルリサイクルケミカルリサイクルについて少し説明してください。 ◎小倉 参考人  マテリアルリサイクルというのは、物自体を、例えば洗浄して使ったり、物自体をリサイクルするのがマテリアルリサイクルになります。ケミカルリサイクルというのは、化学薬品等によって溶解したりして、もう一回、また新しい原料をつくるということで、化学薬品等を使う点が、マテリアルリサイクルとは異なっています。 ◆大橋通伸 委員  マテリアルリサイクルケミカルリサイクルは、今後、さらに利用される方向に動いているのでしょうか。 ◎小倉 参考人  サーマルリサイクルは、先ほど申し上げましたように、世界ではリサイクルと認められておらず、日本としては、マテリアルリサイクルケミカルリサイクルといった点をさらに伸ばしていかないといけません。大体、先進国、北欧等ではこれが70%以上になっていますので、そのレベルまでマテリアルリサイクルケミカルリサイクルというのを増やしていこうというのが現状の方針かと思います。 ◆大橋通伸 委員  下水道でこせないというお話がありましたが、これからの技術開発で可能でしょうか。 ◎小倉 参考人  先ほど、私が申し上げた藻類によるマイクロプラスチック除去技術を用いれば、基本的には目の粗いフィルターでこせるようになります。目が細かいフィルターはそもそもこせるのですけれども、すぐに目が詰まってしまって、定期的に清掃が必要で、長期的に用いることが非常に難しいです。したがって、今はまだ浄水場でこせないのですけれども、将来的に我々の技術がうまくいけば、こせるようになるというふうには考えています。 ◆大橋通伸 委員  サーマルリサイクルは燃やしてというお話でした。このときに、大気中に二酸化炭素というお話をされたのですが、ページが飛びまして33ページに、発電でクリーンなエネルギーというふうに赤枠で書いていますが、私の中で整理し切れないので、説明をお願いします。 ◎小倉 参考人  まず、900万トンのうち、サーマルリサイクルが多いという実態は、例えば工場から出てくるようなウレタン原料だとか、そういったものを廃棄するのではなくて、今、ほとんど燃やしているということです。その場合にはCO2が出てきます。  今回、我々がやっているプロジェクトとしての発電というのは、主にマイクロプラスチックや海洋ごみといったマテリアルリサイクルケミカルリサイクルが難しくて、埋立もしたくないので、せめてサーマルリサイクルをしようということです。  その際には、海藻の培養なんかをすることによって、システム全体としてはCO2を出さない、ゼロエミッションを達成できるというシステムを考えています。 ◆今江政彦 委員  人間の体に対する影響で、基本的には便と一緒に排出されるということなのでしょうけれども、微細なもので、例えば人間の血液の中に粒子が入り込んでという可能性というのは、どの程度ありますか。 ◎小倉 参考人  人間の血液から検出された例はないのですが、ほかの動物では、原理は分からないのですけれども、血液から検出されたという報告があります。まだ実証していかないと流入経路が分からないのですが、実はほかの動物では報告されています。  ただ、人間の場合には、主に腸管のところで止まると思うので、人体の血液に流入することはないとは思います。一方、マイクロプラスチックに吸着している汚染物質というのは、血液に流れ出すことは考えられますので、ぜひ止めないといけないというふうには思っています。 ◆今江政彦 委員  昨日、琵琶湖・気候変動対策特別委員会で琵琶湖の湖底のプラスチックごみについて議論をし、そこでは漁師が引き上げたものをどうやって回収するかという、そういう方法でした。下水のところで止める、あるいは河川の中で流入を止めるということなので、既に今、恐らく湖底にかなりのプラスチックごみ類が残っていて、今後、琵琶湖の中から除くというのは、いろいろな方法があるのでしょうけれども、先生のお考えで、琵琶湖の中のプラスチックごみの処理というのは、どういう方法でしていったらいいのか、もし提案がありましたらお願いします。 ◎小倉 参考人  琵琶湖に限らず、環境中に流出してしまったマイクロプラスチックというのは、回収が実際は難しいのだと思います。ただ、一方で生物が分解したり、徐々に流れ出してなくなるという効果はあるので、基本的には、琵琶湖に流出というか流入というか、琵琶湖に入ってくるマイクロプラスチックを止めるのが肝要かというふうに思っています。  そこに対しては、水処理施設に導入できれば、徐々に、100%とは言わなくても、90何%か、どんどん減らしていくということはできるというふうに思います。 ○竹村健 委員長  歯磨き粉に含まれるマイクロビーズですが、これはそもそもこういうこと自体が許可されているからマイクロビーズが入っていると思うのですけれども、今後、厚生労働省になるのか、国の方で、その辺の規制みたいなものはどうなっていくのでしょうか。また、私は栗東市に住んでいますが、栗東市でも、プラスチックごみ、ビニール等、ごみを分別しています。それも汚れていると可燃ごみにしなさいといった指導があって、汚れているというのは、人によってどの程度が汚れているとかというものにも差があると思うのですけれども、その辺に対する先生の考え方はいかがでしょうか。 ◎小倉 参考人  まず、1次マイクロプラスチックの規制等に関してですけれども、これに関しては、既に欧米等で規制が始まっていまして、日本でもいろいろ検討されているので、徐々に減っていくとは思います。  例えば、昔ですと、洗顔剤にスクラブといってつぶつぶがあって、それが顔をきれいにしたりということで、よく使われていたのですが、最近はそれが別の素材として例えば竹の炭とかになってきたりしていまして、基本的にこういった問題は減少傾向であるというふうには思います。ただ、まだ一部残っているかもしれませんので、それは徐々に減らしていかないといけないと思います。  次に、ごみの分別に関してなのですけれども、これはごみ処理をする事業者によって、いろいろな立場があると思うので、一概には言えないかもしれませんが、基本的に、ごみ収集で集まったようなプラスチックというのは、素性がよくて、そのままプラスチックボトルとして回収されたら、それは基本的にはマテリアルリサイクルされるはずで、可燃ごみに紛れ込んでしまっていても、プラスチックは燃えますので、サーマルリサイクルにはなっているという点で、リサイクルの輪には入ってくると思います。  もちろん、先ほど申し上げましたように、サーマルリサイクルをぜひ少なくしていきたいという思いはあるので、そういった意味では、マテリアルリサイクルペットボトルとしての回収のほうに回したほうがいいのかと思いますが、一方で、不純物がいろいろ入ってくると、マテリアルリサイクルの効率も落ちますので、一概に汚れていてもいいとは言いづらく、本当にその辺にごみを捨てるよりは、よっぽど燃えるごみに入れてもらったほうがいいということです。もちろん自治体の立場とか、ごみ処理施設の性能とかにもよりますので、一概に言えることではないですが、ごみ分別にきた時点で、非常に環境中への負荷は低くなっていると思います。 ○竹村健 委員長  もう1点、そもそもプラスチック自体を使わないようにすれば、それが一番いいのかなと思うのですが、現状、社会の中で、プラスチックの容器を含めて、様々な物が多岐にわたって流通していたり、生産されたりしています。それに代替できるもの、例えば生分解されたり、あるいは限りなく紙に近いようなものとか、そういうものの研究や知見みたいなものは、先生のほうで何かお持ちですか。 ◎小倉 参考人  その観点について、今回抜けていて申し訳なかったのですけれども、基本的に代替素材というのは、いろいろ開発が進んでいます。  まず、順番に申し上げますと、例えば去年の7月ぐらいからレジ袋が有料化されて、多分過剰包装が減って、皆さんがショッピングバッグみたいなものを持って、それでビニール袋というのは非常に減ったと思います。  ただ、ビニール袋の問題にしても、プラスチックストローの問題にしても、全体の割合からするとほんの数%でしかなくて、問題提起というのが非常に大きい価値があるのですけれども、実態を解決できるというところにまでは至っていません。  一方で、私の見解としては、プラスチック製品というのは非常に便利なもので、物を衛生的に包むといった観点では非常にいいですし、今回のコロナ禍では、不織布のマスクというのが、布よりもはるかに優れているという例がありますように、衛生の観点から必ずしも悪者ではなく、必要なものであるというふうに思っています。  だから、我々は、処理を適切にする、無駄はなくすということと、その辺をバランスよくやっていく必要があるのではないかというふうに思っています。  あと、生分解性プラスチック、代替素材に関してなのですけれども、実は生分解性プラスチックというのは、最近、非常によく研究が進んでいまして、ポリ乳酸ですとか、様々な素材が誕生してきています。これに関しては、2つ視点があります。1つは石油由来の製品からつくらないプラスチックであれば、CO2を出さない観点から、基本的にはバイオマスプラスチックであればCO2を新しくつくらないという点で、非常に大きな効果があると思います。  一方、生分解性プラスチックについては、これは実はヨーロッパでISOの規格というのがつくられていて、ヨーロッパのISOの規格は、フランスやイタリアやドイツの大手の化学メーカーが主導で、実際、それをビジネスの現場として、今、規格をつくろうとしています。我々は、実は生分解性プラスチックには非常に懐疑的です。なぜかというと、生分解性プラスチックというのは、海でどんどん分解していくという点で考えると、マイクロプラスチックを短期的に増大させるという効果があるというふうに見ていて、実際、そういう研究もやっています。  したがって、バイオマスプラスチックをCO2の観点から見ると非常によいものだと思います。生分解性プラスチックに関しては、非常に懐疑的で、高度に政治、経済が絡んだ話なので、日本としては、むしろ生態系への評価をきちんと世界に発信していかないといけないというふうには思っています。 ◆白井幸則 委員  これを一つビジネスモデルとしてというところで、海洋ごみを集めることによって、新しい付加価値を生み出して、それをまた市場に出してお金を得るということで、コストとのバランスや集められるボリュームが事業として成り立っていくのかということがあると思います。また、ある程度、このモデルでやっていこうと思うと、国民を巻き込んで、大きな社会問題であるというあたりからも、行政とかが総ぐるみで取り組むことが必要になってくると思うので、このマイクロプラスチックごみとか、海洋ごみとかを放置することによって、どれぐらい、将来に経済的なダメージを国民であったり世界が受けるのかということを比較することが、国民や経済界を巻き込むポイントになるかなと思うのですけれども、その辺はどのように考えておられますか。 ◎小倉 参考人  おっしゃるとおりで、僕たちもこのマイクロプラスチックのごみ問題といったときに、税金だとか、何か痛みを伴う形でやるというのは、非常に難しいのだと思っていて、これを徐々に受け入れてもらうために、委員のおっしゃるように、システム全体としてのライフサイクルアセスメントのような形での負荷というのを、ちゃんと立証していかないといけないというように思っています。  ただ、実際、マイクロプラスチックの経済影響というのは、なかなか難しくて、例えばですけれども、今、魚粉価格というのがすごく高騰しています。これはなぜかというと、魚粉の材料となるカタクチイワシの漁獲高が物すごく減少していて、直接的な原因であるというふうに断定はもちろんまだできないのですけれども、これはカタクチイワシが稚魚の段階でどんどんマイクロプラスチックや、有害物質による影響によって、生存数が下がっているのではないかと思っています。基本的に水槽ベースでやると、ある程度下がることは立証されているのですけれども、世界で本当にそれが起こっているのかは分からないのですが、そのような経済への影響があるのではないかと思います。  魚粉価格も一時期は数兆円だったのですけれども、それが今は7兆円ぐらいの取引高になっていまして、それが食品への価格転嫁を伴っていますので、そういった形で経済影響を評価していくことはできると思いますが、なかなか直接的な影響をきちんと立証するというのは難しくて、そこは今後の課題かと思います。  我々は、まずプラスチックごみをどんどん減らしていきたいという観点から、今回は養殖というのにフォーカスをして、ビジネスモデルを立てているのですけれども、これはオーガニックフードのように、国民全員に直接食べてもらうものを全部つくるというのは難しいので、一番、センシティブな人で、気にされる方に、多少高価でも食べていただけるという方に徐々に導入していくというのが、一個人、一企業としてやっていけるところなのかなと考えて始めています。 ◆白井幸則 委員  例えばCO2の温暖化の問題であれば、温暖化を放置することによって、世界の気温が上昇する。そのことによって、水害であったり、異常気象であったりということで、数兆ドルの被害が想定されます。これを起こさないためにCO2ネットゼロに取り組んで、温暖化対策をしたほうが、経済的な面からも有益であるということで、各企業、各国がこぞって取り組み始めたという流れだと思います。  だから、放置することによって、将来にどれぐらいの損害があるかが見えているということがポイントになってくるのかなと思いますし、取り上げる問題は大きいのですけれども、まずニッチなところからスタートする。ここから入って、国民運動に広げていこうという、そういう形の理解でいいですか。 ◎小倉 参考人  おっしゃるとおりです。 ◆佐口佳恵 委員  今の質問に関連して、まずは養殖から実施をされるということで、使用されるのが藻類でありますが、培養とかは可能だと思うのですけれども、どのぐらいの規模まで可能ですか。先ほど、全部の食糧を賄うのは今の段階ではもちろん難しいのは理解しやすいのですが、拡大するとして、どのぐらいまで可能なのかなということを教えてください。 ◎小倉 参考人  今、沖縄県で、実証試験を4月から始める予定なのですけれども、その場合には、マイクロプラスチック除去槽のサイズとしては、1トンレベルの除去槽をつくろうと思っていて、それで数千匹の魚の養殖が賄えるというふうには考えています。  もちろんこれはスケールアップもすることができると思いますので、一旦実施して、ちゃんとマイクロプラスチックを含まないような水産物をつくれるということが分かってくれば、これをぜひいろいろな水産業者に入れてもらって、どんどん広めていきたいと思っています。  基本的には、スケールアップはできると思いますので、それは大丈夫だと思いますが、一方で除去効率なんかのノウハウというのは、今、蓄積しているところなので、そこら辺もぜひ研究ベースでいろいろ頑張ってやっていきたいと思っています。 ◆佐口佳恵 委員  琵琶湖のような大きな閉鎖水域を抱えている県なので、例えば将来的に相当年数がいることかもしれませんが、公共下水とかで、いつか科学技術が発展して、こういうものができるといいわけですね。そういったことは理論的に、想定可能なのかなという点を聞きたいです。 ◎小倉 参考人  大きい養殖工場レベルであれば、それは賄えると思いますので、徐々にやっていきたいと思います。  藻類を使うときのメリットとしては、藻類は、先ほど光合成をすると申し上げましたが、あれは要するにCO2固定なのです。炭素固定をしていくということで、システム全体としてのゼロエミッションを達成できますし、得られた藻類残渣はどうするかというと、あれはCO2が出てしまうことは勘弁してもらえれば、もう一回燃やしてエネルギーにすることもできます。少なくとも、石油を燃やすよりよっぽどいいエネルギー源になると思いますので、今、藻類のエネルギー源としての利用もいろいろやられていると思いますけれども、非常に筋のよい技術であるかなと思います。要するに、単に除去するというネガティブなところだけではなくて、そこからエネルギーを生み出して、そこからCO2が出てもCO2固定してから出すという意味では、ゼロエミッションという形で貢献していくということで、マイクロプラスチック除去だけではなくて、いろいろな付加価値もつけられるというふうに思っています。 ◆佐口佳恵 委員  技術に関しての質問は以上です。  琵琶湖に関して知りたいのですが、先ほど、小さなプランクトンや、また植物に関してもマイクロプラスチックが影響し得るということで御教示いただきました。様々な要因が重なるので難しいのですが、琵琶湖もいろいろな水産物が減少しているとか、増えているとか、いろいろ、今までに漁師たちが感じたことがない事態が生じているということなのですけれども、マイクロプラスチックが影響しているということはあり得ますか。 ◎小倉 参考人  この辺は、エビデンスベースではなかなか申し上げられないのですが、恐らく影響はしているのではないかなとは思っています。  議事録に残ると風評被害になってしまうかもしれませんが、琵琶湖で捕れる、とあるシジミなんかは、シジミだけではなくて、ああいう貝類というのは、非常に周りからいろいろなものを吸水などすることが知られていまして、恐らく大量の物が入っていると。  実際に、我々は九州における国産のノリからマイクロプラスチックをたくさん発見していまして、なかなか申し上げられないような状況なのですけれども、実際、食卓には入ってきているということが考えられますので、その辺りで、例えば、単に国産や滋賀県産の水産物というだけではなくて、環境も考えたという形で、付加価値をつけたりブランド化したりということは、やっていってもいいのかなというふうには思っています。 ◆佐口佳恵 委員  これは先生ではなく執行部かもしれないのですが、琵琶湖のマイクロプラスチックの状況について、一定聞いてはいるのですけれども、今おっしゃったような生態系への影響という意味での調査は出ていましたか。 ◎三和 琵琶湖環境部技監  直接的にマイクロプラスチックというわけではないのですが、今おっしゃっていただいたような、吸着した有害物質が懸念されるマイクロプラスチック由来の影響としては、これは環境サイドの調査ではありませんけれども、琵琶湖で捕れる魚介類の可食部の有害物質の含有量であるとか、あるいは琵琶湖の底質の有害物質の含有量であるとか、あるいは琵琶湖の水質そのものの調査であるとか、そういう周辺状況の調査をした上で、例えば魚類について何か目に見える影響が出ているのかということについては、現状では出ていないという、そういう周辺状況を総合して考えると、現時点ではマイクロプラスチック由来と思われる生態系への影響は出ていないのではないかというのが、現在の我々の見解です。 ◆佐口佳恵 委員  今、マイクロプラスチックレベルでの影響は出ていないという見解を県は持っているようなのですけれども、私も文系の人間なので、琵琶湖の水量であれば、そういうものなのか、その根拠がよく分からないです。  世界のレベルでいくと、ヨーロッパはやはりプラスチックに関しては、どんどん日本よりも進んでいますけれども、そういったマイクロプラスチックが大量に流れていそうな閉鎖水域における研究の先進例というのはあるのでしょうか。 ◎小倉 参考人  特に東南アジア等での調査で見つかってはいます。今、琵琶湖では、それほど問題になっていないという話がありまして、実は僕もそのように思っています。実はいろいろなところを比較すると、数年前に京都大学の先生が日本近海の数倍のマイクロプラスチックを発見されたというニュースもありましたが、一般的には、琵琶湖に関しては、現状、人間への影響が出るような、そういうレベルにはないとは思っています。  ただ一方で、先ほど冒頭で説明させていただいたように、日本の出すプラスチック量というのは、世界でも数%なので、外洋から来る可能性があると。そういう意味では、日本の河川というのは、ショッキングな説明をしてしまったかもしれませんが、現状で直ちに影響があるような、そういう汚染度ではないというふうには考えています。
    休憩宣告  14時00分 再開宣告  14時02分 2 滋賀県域からの温室効果ガス排出実態(2018年度)について   しがCO2ネットゼロ社会づくりに向けた取組の方向性について (1)当局説明  天野温暖化対策課長 (2)質疑、意見等 ◆大橋通伸 委員  るる数値もお示しいただき、ありがとうございます。  最初の温室効果ガス排出実態のほうの資料でいいますと、1990年度からずっと追いかけて、2ページ、3ページとお示しいただきました。この間で結構ですので、ざっくりお伺いしたいのは、省エネ、再エネへの県の支援について、これまで投じた予算。年度別、部門別で違うでしょうけれども、その中で国費が占める割合。資料を持ち合わせていらっしゃらないかもしれませんが、ざっくり教えてください。  2点目ですが、次のしがCO2ネットゼロの資料の5ページの下の17番、ムーブメントの推進ということで、知事が昨年、年頭に高らかに掲げられましたが、賛同者の拡大というふうに書いていますけれども、現状を教えてください。 ◎天野 温暖化対策課長  1点目の1990年度からの省エネの投資額という御質問でございましたが、そこのデータは今、持ち合わせていませんので、また調べまして御報告させていただきたいと思います。  2点目の御質問でございますが、ムーブメントの推進について、現時点では、まだ企業の賛同が78社ぐらいでして、個人の賛同は1,100名ぐらいでございます。  賛同企業78社の全員が賛同されていたとしましても、トータルで2万4,000人ぐらいの賛同者ということでございまして、なかなか賛同者のところが広がらないという現状でございます。その辺は、もっと危機感を住民の方と共有しながらやっていきたいということで、知事が出た動画をいろいろつくったり、気候変動の動画をつくったりしてPRしているところでございますが、もっと強化していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆大橋通伸 委員  1つ目の質問は、どういう資料を提供いただけるか分かりませんが、お手間を取らせますけれども、いろいろな気候変動に対する昨今のうねりは関心も含めて大きいものがあり、推移が知りたいので、お願いします。  2つ目ですが、今の答弁でちょっと気になったのは、危機感が足りないというふうに、賛同者側の原因のようにおっしゃったように聞こえてしまいました。  そういうふうに聞こえてしまったのですが、賛同が進まない原因の根っこは何だと思いますか。 ◎天野 温暖化対策課長  すみません、そういうふうに聞こえたのなら、申し訳ないと思います。  やはり我々の普及啓発が足りないのではないかなということで、頑張って賛同を募るということをやっているわけですが、CO2ネットゼロを宣言したことも知らない方もまだ多くおられるようなところがございます。我々のPR不足、周知不足というところがございますので、その辺をもっと強化していきたいというふうに考えています。 ◆大橋通伸 委員  ぜひ強化していただきたいと思います。 ◆中村才次郎 委員  しがCO2ネットゼロ社会づくりに向けた取組の方向性についての資料の7ページの最後のところに関してです。省エネに取り組んでいくということはもちろんで、そこに記されています再エネ、次世代エネを通じた取組の方向性というのがありますけれども、その中で太陽光発電の導入量は増加しているが、その他の再生可能エネルギーの導入量は少ないと記されています。そのとおりだというふうに思います。  目指す姿として、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大となっていますけれども、では太陽光発電以外に、滋賀県での再生可能エネルギーの導入というのは、どんなことが考えられるのか、何かビジョンがあるのかなと思うのです。  そう思うと、4つ目にある水素エネルギーの利活用の促進というあたりになるのかなというふうにも思うのですけれども、その辺も、何か具体的にこれからいろいろな技術が開発されていかなくてはいけないことですが、水素エネルギーの利活用ということについて、何か具体的なことがあれば教えてください。 ◎天野 温暖化対策課長  太陽光以外にもバイオマスとか、小水力とか、風力発電とか、いろいろメニューがあるわけでございますが、なかなか今もそんなに進んでいないというような現状であります。この辺を今後、どういう形で増やしていくかということは、一つの課題になっているというふうに感じています。なおかつ、今おっしゃいました水素エネルギーにつきましては、再生エネルギーではないのですけれども、次の時代を担う新しいエネルギーということで、全国的にも世界的にも注目されています。滋賀県でも、うまいこと取り組めないかということで、これはエネルギー政策課のほうでございますけれども、この3月からでしたか、新たな研究会を立ち上げて、県内の水素エネルギーをどうやって導入するかということを具体的に研究していこうということで、進めていきたいというふうに、エネルギー政策課のほうで現在考えているところです。  だから、そこの研究で得られた成果を、今後の低炭素社会づくり推進計画などにも取り込んでいきたいというふうに考えているところです。 ◆中村才次郎 委員  その他の再生可能エネルギーというと、今、説明があったように、小水力とか、バイオマスなどがありますけれども、ずっと世界的な傾向などを見ていると、風力発電というのが物すごく注目されているではないですか。それを進めようとしていますけれども、滋賀県は残念ながら海に面していないので、日本という国で風力発電をしていこうと思うと、滋賀県はなかなかそういうことはできないということになってくるので、非常に弱いのかなと思います。  では、そうするとあと可能性があるのは山の上かなとか思うのですけれども、その辺はどうですか。 ◎天野 温暖化対策課長  確かに風力につきましては、海がないということで、山のほうにいろいろな計画がありますけれども、生態系を壊すというようなこともありますので、なかなか進んでいかないところもございます。  バイオマスにつきましても、なかなかバイオマスになる原料などの点でも課題があるというふうに聞いていますが、ただ課題はありますけれども、その辺を克服しながら、何とか少しずつでも増やしていくような算段をしないと、ネットゼロにはならないと思います。太陽光が中心と言われていますけれども、ほかの再生可能エネルギーの取組も、それぞれで進めていきたいというふうに思っています。 ◆佐口佳恵 委員  今の関連で、滋賀県でなし得る太陽光発電以外の再生可能エネルギーですけれども、例えば、同じ島国であるニュージーランドなんかで発達している地熱発電であるとか、小水力発電について何か把握されていたり、動いておられたりしていますか。 ◎天野 温暖化対策課長  エネルギー政策課は把握しているかもしれませんけれども、外国の話というところまでは、私のほうでは把握はしていません。 ◆今江政彦 委員  特に一つ象徴的なのは、2030年代にガソリン車の新車をなくすみたいな表明を菅総理がされて、国は国で進んでいくわけだけれども、滋賀県はこれまでずっと環境県ということを自負してやってきています。2050年という部分を滋賀県はもっと前へ倒して達成するとか、あるいは国ができること、滋賀県としてできること、県民に求めるもの、事業者もそうですけれども、この政策の中で滋賀県の独自性をどういう形で表すのか。その辺の課長の思いを聞かせてください。 ◎天野 温暖化対策課長  確かに全国どこもかしこも同じようにCO2ネットゼロに向けて進んでいるわけですが、委員がおっしゃいましたように、滋賀県の独自性を出していくというのは、滋賀らしさにつながっていきますので、その辺については、今後、また十分検討していきたいと思っていまして、今の段階ではまだそこまでは考えていません。 ◆今江政彦 委員  産業界、あるいは家庭、いろいろな部門で課題も違うと思うのですけれども、一番この課題で大きくアピールできる、あるいは前へ進めるというのは、県民の意識をどれだけ変えられるかという、そういう啓発の部分だと思います。そこで滋賀県として、県民の意識をこの2050年CO2ネットゼロというところに向けてどうするか、ここのところで特に重点的に何ができるかというのを、ぜひいろいろな有識者の声を聞きながら進めていただきたいと思います。これは要望です。答えは結構ですので、ぜひそういう方向で取り組んでいただきたいと思います。 ◆白井幸則 委員  しがCO2ネットゼロ社会づくりに向けた取組の方向性についての2ページ、2050年で約97%減とか、何%減という表現ですけれども、具体的には何トンになるのか教えてください。 ◎天野 温暖化対策課長  今のは、2ページの下のエネルギー消費量でよろしいでしょうか。 ◆白井幸則 委員  エネルギー消費量、CO2排出量の両方です。 ◎天野 温暖化対策課長  エネルギー消費量の66%減というのは、2050年で5.1万テラジュール、CO2排出量でいきますと、46万トンまで減らすということでございます。 ◆白井幸則 委員  もう一つ教えてほしいのですけれども、先ほど大橋委員が尋ねられたように、賛同者がなかなか伸びないということで、県庁がまず音頭を取ってやっているから、県庁は職員、会計年度任用職員を含め4,000人近くの方がもう既に2万4,000人の人数の中には入っているということですか。 ◎天野 温暖化対策課長  県庁の方につきましても、賛同していただける方は入っていますけれども、全員入っているというわけではございません。 ◆白井幸則 委員  賛同している会社は、社長や総務の方が賛同しますと言ったら、従業員を全部カウントして、2万4,000人というのが出来上がっているわけではないですか。県庁だったら知事がやりますと言ったら、県庁の職員みんなが賛同してカウントされているのではないのですか。逆にカウントしたほうがいいのではないかと思っているのですが。  ただ、言いたいのは、実態がちゃんとつかめていないのではないかなということです。なかなか賛同者が上がってこないので、前にも何かの機会に言いましたけれども、CO2ネットゼロに県民挙げて取り組むんだ、皆さん賛同してくださいと言います。そして、北湖では全層循環が2年にわたって起きていません、だから賛同してくださいと言いますが、全層循環はバロメーターにはなるけれども、県民の皆さんの命に関わる事としてどのような事があり、経済的にどれだけダメージを与えるのかということがつながりにくいではないですか。いまだに全層循環と言っている段階で、現状をもっとしっかりと見て、どういう危機があるのかということを認識しないと駄目だと思います。そして、いろいろなところを曖昧にし過ぎています。今の5万1,000テラジュールにしないといけないから、結果として66%減らさないと駄目なんですよ。46万トンにCO2を減らさないといけないから、結果として何年比の97%減なのですよという組み立てではないですか。  だから、そこが見えにくくしてしまうからよくないのではないかなと思うので、もっと具体的に、見えるものはしっかりと数字で示し、曖昧さを残さないというところを取り組まないといけません。現実に2050年に、我々は多分現役でやっていないと思いますので、そのときに、2021年にこういったいいシナリオをしっかりとつくってくれたんだなというふうに思ってもらえるようにしっかりやっていかないと駄目です。それなのに、今、このシナリオを考えたときに、先ほど天野課長が現実的には難しいと思いますと説明の中でおっしゃいましたけれども、シナリオをつくっている者が、実現には難しいと思いますと言いながらつくっていたら、そんなものは実現するわけがないではないですか。もっと深刻な問題として、担当する者が取り組まなかったら実現しないと思います。  その上で、もう1点教えてほしいのですけれども、6ページ、事業活動を通じた取組の方向性ということで、温室効果ガスのうち、CO2が一番比率が高くて、その比率の中でも、CO2を排出しているのは、半分は事業だということです。その中で電源によるCO2の排出が大きく、そのときに、目指す姿の中で、化石燃料から電力など炭素原単位の少ないエネルギーへの大幅な転換となっています。今、非化石電源ということで、原子力も、非化石電源証明が出るではないですか。現実的にCO2ネットゼロを達成していこうと思うと、こういったところもしっかりと書いていかないといけないと思うのですけれども、その辺はエネルギーの関係だから違う課が担当していますということではなく、ここの電源の問題は非常に大切だと思います。この部分について、どういう意味か説明してください。 ◎天野 温暖化対策課長  この部分につきましては、化石燃料をやめて炭素原単位の少ないというか、CO2を排出しないエネルギーへの転換をしていかないといけないという意味で書いていまして、その構成をどうするかというのは、また今後の議論にはなると思います。今のエネルギービジョンなりを見ていますと、原子力については考えていないということになっていますので、今後もそういう形で続いていくのではないかとは思いますけれども、その辺につきましては、来年度、また低炭素社会づくり推進計画なり、低炭素社会づくりの推進に関する条例の改正をしていきますので、そこでまた十分議論はしていきたいなと思っています。 ◆白井幸則 委員  この部分、もしかするとCO2ネットゼロで削減することとエネルギービジョンというのは、相反するものかも分かりませんが、そこは何としてもCO2ネットゼロを2050年に達成するんだという固い決意とか、強い思いがあれば、そこも戦っていかないといけない部分ではないかなと思いますので、どれぐらい達成する気持ちがあるのか、本気度があるのかということをまた部長と相談しながら進めてください。 ◆佐口佳恵 委員  J−クレジットについて教えてください。  主体について、誰がどういう事業をして、誰がそのクレジットを買って、県がそれに対してどう関わるのかというところのイメージが捉え切れていないのですが、どういうイメージでしょうか、もう少し詳しく教えてください。 ◎天野 温暖化対策課長  びわ湖・カーボンクレジットという言い方をしているのですけれども、基本的に国の制度を使うという形を考えていまして、県内で出てくる削減量とか吸収量を企業に購入していただいて、CO2ネットゼロなり琵琶湖の保全に役立てていこうという目的があります。さらに企業が購入するだけではなく、企業が購入して、それをまた企業がカーボンオフセットという商品にすることによって、それをまた県民に買っていただきます。  お金さえ払ったらいいというものではないのですけれども、県民が主体的に買うことによって、県民もネットゼロの意識を持ってもらうというようなところを、今回は狙いということにしています。  だから、要は県としましては、購入していただいていろいろなカーボンオフセットの商品を開発してくれるような企業を探していこうかなというように考えているところでございます。 ◆佐口佳恵 委員  購入してもらう企業というのは、県内企業と考えていいのでしょうか。また、売手は誰ですか。 ◎天野 温暖化対策課長  売手というのは、現在、クレジットを保有している造林公社とか、あと吸収量でいえば造林公社や金勝のほうの森林組合が持っておられるというふうに聞いていますし、あと企業のほうでも、削減量でクレジットを持っておられるところがあるように聞いていますので、そういうところを考えているところです。 ○竹村健 委員長  もちろん方向性なので、これから低炭素社会づくりの推進に関する条例の改正であるとか、低炭素社会づくり推進計画、あるいはしがエネルギービジョンの改定の中で、具体的なものが出てくるというふうに思うのですけれども、方向性だからこそ、もう少し国が言っていることの上書き的なものではなくて、もっと数字的に滋賀県としてとんがっていくのか、あるいは滋賀県らしさを出してほしいと思います。滋賀県は、ほかの都道府県ではなく、こういうことをやるのだということを、知事が盛んにいろいろなところで言っているのだけれども、この資料だけ見ていると、それに向けての覚悟とか、それに向けての熱意みたいなものが全然感じられません。  なので、本来だったら方向性なので、もっととんがってやるのだとか、それこそ罰則を設けてでも滋賀県はやるのだとか、そういうようなことが方向性だと思います。書いてあることは、何かどこの県でも通じるような話が多いので、その辺がもうひとつ、知事が言っている思いと、こういうようなものにあらわれてくるものにギャップを感じます。今後具体的なものを来年度つくられるときには、今皆さんから御意見が出たところをしっかりと踏まえてもらわないといけないのかなという気がしますので、しっかりとお願いします。  説明も、もう少しめり張りをつけて説明をしてもらわないと、余計にそういうことを感じますので、今後ともよろしくお願いします。 3 滋賀県ビオトープネットワーク長期構想変更(案)に対する意見・情報の募集について (1)当局説明  矢野自然環境保全課長 (2)質疑、意見等 ◆大橋通伸 委員  1点お願いします。  資料2の46ページです。中ほどの(2)環境影響評価の手続を通した助言ということで、これまでから環境影響評価を必要なとき、必要な場でされてきたと思うのですけれども、業者が開発を行う場合に、県の権限と言いますか、強制力と言いますか、その辺は個別具体的に違うと思いますが、どういう相手とやり取りを具体にされていますか。ここに書いてはいますが、これ以上は駄目だとか、ここまではいいとか、そういうやり取りとか、許可まではいかないと思うのですけれども、ゴーサインを出される、出されないという辺りのことが、この部分から読み取りにくいので説明をお願いします。 ◎矢野 自然環境保全課長  環境影響評価というのは、法律に基づいて実施されるものでございますけれども、これまで評価を行うに当たって、事業者の皆さんがいろいろな開発をされる地域の自然状況について調査をされて、その調査結果をもとに、専門家の意見も聞きながら評価をまとめていくというような流れでございます。  そういった際に、いろいろな調査も行われます。また滋賀県のほうでは、法定の環境影響評価とは別に、自然環境をしっかり守っていくということで、環境影響評価条例に基づいて協定を結ぶ、より範囲の狭いエリアの開発についても、独自に県と事業者が協定を結ぶような形で、その自然環境にどういった影響があるのか、できるだけ影響を低減するための措置はどういったものがあるかといったことを、事業者と事前にすり合わせをさせていただいて、その上で協定に基づいて事業を進めていただくというような行為も行っています。そういったところで、手続の中で、しっかり自然環境も把握をして、県からも様々な条件を付させていただくということで、今回ここに書かせていただいています。 ◆大橋通伸 委員  条例の中身まで知らずに質問させていただきました。ありがとうございます。 休憩宣告  15時16分 再開宣告  15時19分
    《農政水産部所管分》 4 滋賀県産農畜水産物における今後の輸出支援の考え方について (1)当局説明  平井食のブランド推進課長 (2)質疑、意見等 ◆大橋通伸 委員  日本の胃袋がだんだん小さくなっていく中で、海外へ打って出るということに大いに期待もしたいですし、報告を聞いていますと、輸出実績もここ数年で顕著な伸びを示していることを喜んでいます。  その中でも、近江米について少しお尋ねしますが、全農スキームにより、世界各国に輸出ということでした。他府県との競合がある中で、滋賀県がこれだけ伸びた理由は何だったのですか。 ◎平井 食のブランド推進課長  滋賀県がこれだけ伸びたということではなくて、全国的に伸びているというふうに考えています。  農家が主食としての生産調整をする中での選択肢として、加工用米でありますとか、米粉用米、輸出用米、それから場合によっては飼料用米というような選択肢の中の一つとして、輸出用米が選定されているというようなことでございまして、そういう中で、今、特に蒲生町農協が中心に多いのですが、その辺が、何か完全に個別に、滋賀県から輸出するというのではなくて、全国的に全農で全部集めて、全農が軸で、日本のお米というような形で輸出されるというようなことです。  だから、今、競合というものは、そういう中では発生していません。 ◆大橋通伸 委員  分かりました。  今、全農でという説明でしたが、他府県と比べると、本県よりももっと多量にというか、パワーを持ってやっておられるところも、他府県との比較がここでは分からないので、あるというふうに想像できるのですがどうですか。 ◎平井 食のブランド推進課長  新潟県でありますとか、福井県でありますとか、東北方面では秋田県であるとか、そういったところは結構増やしています。  これは、実のところは国内の売り先ではなくて、海外にまで販路を求めていかないと、新潟県や秋田県などは、実は国産のお米が余っています。それを国内へ流すと、国内の米価が下がることになりますので、活路を海外に求めているというようなことがあるというふうに推定をしています。  さらに、国内で売るために、外に出すというアピールポイントにもなります。そういう大きい産地について、特にそういうようなことが目立っているというふうに考えています。  滋賀県はまだそこまでいっていませんが、来年に向けては、まださらに増えるというふうに聞いていますけれども、輸出ももうぱんぱんでございまして、あと空いているところは、餌米、飼料用米というふうに聞いています。なかなか、これからまだまだ先をもっと開拓していかないと難しい状況にあるのではないかというふうに考えています。 ◆大橋通伸 委員  ぼんやり分かってきました。  もう1点だけ。世界各国ということで、為替レートも違いますし、海外へ打って出るときの収益なんかは、なかなか読み切れないところもあると思うのですが、その辺は、今後の見通しや心配とかはどうですか。 ◎平井 食のブランド推進課長  やはり海外でも同じようにトップブランドを頂点に三角形で、トップの高い値段で売れるようなところのほうは埋まっているというふうに聞いています。  次にミドル的なレンジのところを目指して、これから進めていくというか今進められていますけれども、大体やはり1万円を切るようなものです。  今、生産調整のサイドのほうで、1反2万円の助成があります。1反2万円では、10俵取れば2,000円の助成がそこにつくことになりますので、そういったものとの中で、一応、主食並み程度の手取りがあるような形で進められているというような状況です。  それ以上高くということになってくると、量もなかなか難しいです。ニッチなところはまだ残っているかも分かりませんが、量として、何百トンとか何千トンということになってくると、なかなか難しいというふうに考えています。 ◆今江政彦 委員  サポートガイドの最後の主な品目における取組の方向性について、例えば、近江牛だと滋賀食肉センターの設備機能を踏まえつつというのは恐らくアメリカ向け輸出を一生懸命やったけれどクリアできなかったから、そのできる範囲でというような表現の意味だと思うのですが、そうした問題も含め、あるいはお米でも中国に輸出しようと思うと、国内の特定の施設でやらないと受けないというようなことがあって、それは難しいと。  要するに、滋賀県からの輸出を伸ばすのに、こういう課題があって、こういう施設整備とかをやれば輸出が伸びるみたいな、今申し上げた近江牛とか、近江米以外のところも含めて、そういう課題は何かありますか。  例えば、野菜、果実の輸出規制に適合した各種認証というのは、具体的なことは分かりませんが、そういう課題は幾つかあるのでしょうか。 ◎平井 食のブランド推進課長  品目ごとの課題もさることながら、個別の生産者の方々の輸出する力というものがまだまだ小さく、今、この中では、力をつけることがまず先決だというふうに考えています。  そういう力をつけるために、実際に商談をしてもらいますと、なかなか商談をまとめることすら、PRすることすらできないというような生産者の方々も多くいらっしゃいます。まず、PRする力をつけてもらうことが大切です。  商談が成立した暁には、ほっておいたのでは増えませんので、すぐにやり取りもしないといけません。そういうようなスピード感を持った対応ができないようでは駄目だということで、実質的には、それをやろうとすると、輸出の専門のセクションみたいなものがないと駄目でして、かなり大きなサイズになってこないと駄目なのかなと思います。近江牛とか、ああいう形の大きな農家にだんだんとなっていってもらわないと、個別の流通というのは難しいと考えています。  それぞれ近江牛なり、近江のお茶なり、近江米以外のものにつきましては、非常に小さい農家ばかりですので、なかなかそういうような対応が難しいというのが第一だと思いますし、量的にもどんとくださいというようなオーダーがあっても、対応ができないというようなこともあります。まず、そういった力をつけることが、今、大事だというふうに考えています。  そういう中で、国のほうは、今、輸出戦略というものを策定されました。これは、実は、どんと伸ばすための戦略ですが、それぞれの品目ごとに15地区とか、何地区とか、大体、決められています。手挙げ方式にはなっているのですけれども、国は、大きなところを、例えば牛だったら15地区ぐらいになっているのですが、大体、こことここだと決めているのです。そういう力を持っているところを引き上げて、それに足りないところに対する支援をしていこうというのが、今の国の考え方です。  今、まずそれぞれ大きな産地に狙いをつけてやっておられるというのが、国の戦略です。なかなか滋賀県で乗れるようなものは少ないわけですが、今のところ、米については、手を挙げておられるというふうな情報は聞いています。 閉会宣告  15時49分  県政記者傍聴:京都、読売  一般傍聴  :なし...